研究ノート


質的研究について

質的研究とは


「質的研究」というと、調査⽅法や分析法を思い浮かべる⽅が多いかもしれませんが、「質的研究」は研究や調査の⽅法(method)などではなく、理論的⽴場を含めた「⽅法論(methodology)」です。

質的研究の目的

質的研究の目的


「ラーメンは好きですか?」

東京で 100 ⼈にこの質問をします。

「はい」と「いいえ」の⼈数を数え、割合を出します。その結果、東京の〇〇%の⼈が「ラーメンが好き」あるいは「嫌い」という結果が出ます。同様に、札幌や博多で聞くこともできるでしょう。また、醤油、塩、味噌など、味の好みについて聞いてもいいでしょう。

これはどのぐらいの⼈が、どのようなラーメンが好きかということを知りたい、という研究です。

「あなたにとってのラーメンとは」

この質問の答えは、⼈によってさまざまで、おそらく数を数えたり、割合を出したりすることはできないでしょう。なぜなら、この質問はその⼈にとっての「ラーメンの意味」を聞く質問だからです。

私が⾏なっている質的研究は、単純化すれば、「あなたにとってのラーメンとは︖」のような問いを⽴てる研究です。

さまざまな事象に対し、その意味や経験から⼈間を理解していく研究です。

質的研究の木

質的研究の木


質的研究を⽊に例えてみました(八木 2020)。インタビューや参与観察という調査⽅法は、その葉になるでしょう。

そして、エスノグラフィーやナラティブ、ケーススタディなど、研究⽅法としての幹や枝があります。それらを⼟台として⽀えているのは、パラダイムという研究者の解釈の枠組みです。

さらに、質的研究の考え⽅は、さまざまな哲学や理論から栄養分をもらっていると考えます。